就職や転職活動中に「キャリア○○」というワードを目にしたことはないでしょうか。たとえば、「キャリアアップ」「キャリアプラン」「キャリアパス」「キャリアデザイン」など、キャリアに関する用語はさまざまです。
キャリアプラン・キャリアパス・キャリアデザインの違いとは?
キャリアを考えるときには、少なくとも次の3つの概念とその違いは理解しておく必要があります。
・キャリアプラン
・キャリアパス
・キャリアデザイン
大枠の解説をすると、「キャリアプラン」は、あなたが理想とする職位までの道筋を計画におとしたものです。一方「キャリアパス」は、企業側が示す昇進・昇格までのモデルケースを指します。また「キャリアデザイン」は、仕事だけではなくプライベートを含めた人生設計のことです。
それぞれの概念は似ていますがまったく異なるものなので、詳しくみていきましょう。
キャリアプランとは
まずは「キャリアプラン」について解説します。
キャリアプランは、就職や転職時の面接などの質問内容として最近よく問われる概念です。
たとえば、「あなたの10年後のキャリアプランについて教えてください」というような形で、キャリアについての中長期的な見通しを問われます。
そこで、ここでは具体的に、次の3つのポイントについて解説します。
・キャリアプランの意味
・キャリアプランの例文
・キャリアプランのメリット
キャリアプランをどの程度意識しているかは、採用を決める企業側にとっても重視しているため、しっかりと理解しておきましょう。
キャリアプランの意味
キャリアプランというのは、あなたが職歴として目指す理想像と、そこへ向かう道筋の計画を示すものです。
キャリアプランで重要なことは、プライベートの内容よりも、あなたが仕事に対してどこのキャリアを目指しているかということです。そして、その目指す理想のために、どのような計画を立てているかを表す必要があります。
つまり「なぜその理想を目指すのか?」と「それを達成するためにどのようなスキルアップの方法を考えているのか?」に答えることがキャリアプランを構築するということです。
そのため、キャリアプランには熱意や情熱など、あなたの「仕事に対する思い」を含める必要があります。そして、それだけでは具体性に欠けるため、数字によって客観性をもたせることも大切です。
たとえば、「5年後に売上を10%上げる」や「10年後に8人を取りまとめるチームリーダーのポジションで活躍する」というように、なるべく具体的に表現することで説得力が増します。
理想とその道筋を明確にすることが、キャリアプラン構築の意味といえます。
キャリアプランの例文
ここでは、キャリアプランを構築する際に参考となる例文を紹介します。
キャリアプランを作成するときのポイントは、「熱意」と「客観性」を入れることです。
その企業で長く働く意欲と、具体的にどのような活躍を想定しているのかを、数字を使って客観的に説明することが大切です。
キャリアプランは、就職や転職時の面接で聞かれることが多いため、ここで紹介する例文は面接時の回答を想定した例文としてあります。
キャリアプランの例文
営業職として10年後のキャリアプランは、自社製品の売上高20%アップを想定しています。そのために、新規顧客の開拓と既存顧客のフォローのどちらにも力を入れ、営業を引っ張っていく存在になることが目標です。さらに、社内の先輩や上司の方からのアドバイスを受けるほか、異業界のトップ営業マンのノウハウを書籍やセミナーで学んで研鑽を積むことで目標達成を実現させます。
職種別のキャリアプランの例文やキャリアプランを答える際のNG例について「キャリアプランとは?転職面接で使える簡単な3ステップを紹介」の記事で紹介しているので、ぜひ読んでみてください。
キャリアプランのメリット
キャリアプランを立てるメリットは、キャリアプラン自体が行動指針となり、中長期的にやるべきことが明確になることです。
たとえば、10年後の未来を具体的に想像することで、どのようなスキルや知識を身につけるべきか、どのような経験や実績を積み上げる必要があるのかが明確になるでしょう。もしかしたら、立てた理想像が今の企業では達成が困難ということがわかるかもしれません。その場合は、転職や独立も視野に入れる必要があります。
このように、理想のゴールを明確にすることで、到達までの過程も具体化して行動しやすくなることがメリットといえます。
また、企業側が面接時にキャリアプランについて質問する理由は、その人のキャリアプランと企業のビジョンが一致しているかを確認するためです。採用する人材のキャリアプランと企業のビジョンのマッチングによって、早期離職のリスクを事前に回避するというメリットがあります。
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具体的なキャリアプランの立て方については「最低限抑えておくべき!キャリアプランの立て方とポイントを紹介!」の記事詳しく解説しているので、ぜひ読んでみてください。
キャリアパスとは
次に「キャリアパス」について解説します。
キャリアパスは、企業のなかで昇進や昇格する基準や条件をモデルケースとして定めたものです。そのような人事制度を「キャリアパス制度」とよびます。
またキャリアパスは、キャリアプランと似た概念ですが、前提として「企業側がつくるもの」と「従業員側がつくるもの」という違いがあります。
そこで、ここではキャリアパスについて、次の3つのポイントについて解説します。
・キャリアパスの意味
・キャリアパスの例文
・キャリアパスを考えるメリット
キャリアパスは企業側が重視しているものなので、しっかり理解し今後の昇進や昇格に役立てましょう。
キャリアパスの意味
キャリアパスは、基本的には企業側が従業員に対して、ある職位や職務に到達するまでの道のりを提示するものです。
簡単にいえば、「出世のモデルケース」ともいえるかもしれません。
キャリアパスは、企業側が提示するものなので、その企業でのキャリアを前提に構築されています。先述したキャリアプランは、転職や独立などの人生設計も含むため、その点がキャリアパスと異なる点といえます。
また、実際の従業員の職歴をモデルケースとして作られることが多く、現実的なキャリアの道筋になるのが特徴です。そのため従業員としても、どのような業務経験やスキルがあれば、どのような職位や職務を目指せるのかが具体的に把握できるため、モチベーションを高める効果が期待できます。
キャリアパスは、従業員にとって歩むべき道しるべとなるものとして広く活用されています。
キャリアパスの例文
キャリアパスは、基本的に企業側が作成するものですが、キャリアパスの提示がない企業や、あったとしても不明確な場合があります。
そのときには、自分なりのキャリアパスを作成することで、今後の具体的な働き方がみえてきます。
そのため、ここでは自分なりのキャリアパスを作成する際に参考となる例文を紹介します。就職や転職などでキャリアパスについて質問されることがあるかもしれません。その時に、自分なりのキャリアパスを答えられるようにしておきましょう。
キャリアパスの例文
私が考えるキャリアパスとして、まず30歳までに担当している自社製品の売上高10%アップを達成し主任へ昇進します。そして、新規製品販売チームのリーダーとして5年間働くことで新製品の知識とマネジメントスキルを磨いたあと、海外営業チームへ異動する予定です。そこでグローバル営業の知識と実績を積み、さらにTOEIC800点を達成し、40歳でアメリカ事業体への転勤を目指します。
キャリアパスを考えるメリット
キャリアパスは企業側が提示するものですが、提示されたキャリアパスについて定期的に考えることは、その企業で働く従業員にとっても大きなメリットがあります。なぜなら、あなたの作成したキャリアプランと照らし合わせることで、ミスマッチが起きていないか確認できるからです。
たとえば、あなたのキャリアプランでは「30歳までに主任に昇進」という計画を立てていたとしても、企業のキャリアパスでは「主任になるのは35歳以降」となっていたとします。その場合は、お互いが設定したキャリアの道すじにミスマッチが起きているため、あなたのキャリアプランを見直すか、そのままのキャリアプランを実現できる企業に転職するかを考える必要があります。
また、ミスマッチが起きていない場合でも、定期的にキャリアパスを見直すことで、自分のキャリアの現在地を確認することができモチベーションアップにつながるというメリットもあるでしょう。
キャリアパスについて考えることは、転職のタイミングを逃さないことと、働き続ける場合でもモチベーションアップにつながるメリットがあるということです。
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キャリアデザインとは
最後に「キャリアデザイン」について解説します。
キャリアプランはあなた自身が立てる将来の理想像へのルート計画、キャリアパスは企業から提示されるその企業でのキャリアアップのモデルケースでした。
キャリアデザインは、それら2つよりさらに抽象化された「人生の設計」ともいわれる概念です。ここではキャリアデザインについて、次の3つのポイントについて解説します。
・キャリアデザインの意味
・キャリアデザインの例文
・キャリアデザインを考えるメリット
キャリアデザインが明確になれば、あなたの人生の指針ともなるため、しっかり理解しましょう。
キャリアデザインの意味
キャリアデザインとは、仕事だけではなくプライベートやライフスタイルを含めた、人生全般を設計する考え方です。
概念的にはキャリアプランと似ていますが、キャリアプランが「職歴」に特化した計画なのに対し、キャリアデザインは「人生」の全体を考慮した設計という点が異なります。そのため、人生において仕事は一部の要素だという認識のうえで、ワークライフバランスの考え方や自己実現についての自己分析が必要です。
また、キャリアパスはモデルケースを参考にして作られますが、あなたの人生のモデルケースはどこにもないはずです。つまり、あなたの人生としてのパーソナルな目標と計画の設計をするのが、キャリアデザインといえます。
キャリアデザインを構築することにより、キャリアプランやキャリアパスでは不明確だった「人生の指針」がみえてくるでしょう。
キャリアデザインの例文
キャリアデザインを作成するためには、自分のなかにある理想とするものの棚卸しが必要です。
「自分は何が好きなのか?」「理想としている働き方はどのようなものなのか?」「どのような人間関係でいるのが快適か?」などの自己分析から、将来の理想を決めるうえで譲れないものをみつけだします。そこには仕事だけではなくプライベートも含めた、多角的な視点が必要です。
キャリアデザインの構築によって目指すべき人生の道すじも明確になるでしょう。ここで、キャリアデザインの例文を紹介するので、作成時の参考にしてください。
キャリアデザインの例文
私は現在独身ですが、10年以内に結婚し子どもを2人もうけたいと考えています。子どもたちにはグローバルな教育を受けさせたいため、子どもが小学生になるタイミングで海外へ移住するのが希望です。そのために、今の営業部で製品知識と営業スキルを習得し、イギリスの事業体で営業として活躍するのがわたしのキャリアデザインです。
キャリアデザインを考えるメリット
キャリアデザインは、今後のあなたのキャリアについてフラットな視点で考え直すきっかけとなるというメリットがあります。
キャリアデザインで重要なことは、実現性をあまり考慮せずに理想の将来像を描くことです。
つまり、今の状況にとらわれずに、本当にやりたいことや自己実現したいことにフォーカスすることで、人生の指針がみえてきます。
具体的に考えづらい場合は、抽象的なイメージを描いてもよいでしょう。たとえば、「英語スキルとコミュニケーションスキルを生かした生活をしたい」という理想が出てきたとします。その場合、今の企業に海外転勤制度があれば希望する計画を立ててもよいですし、「外資系企業へ転職」という選択肢も出てくるかもしれません。
このように、人生全般の目標を設定することで、新たな視点で人生設計を見直すきっかけになることが、キャリアデザインを考えるメリットといえるでしょう。
キャリアに向き合わなければいけない背景
次に、キャリアに向き合わなければいけない背景について解説します。
その背景は、次の2つです。
それぞれについて解説します。
将来は終身雇用制度に頼れないから
キャリアに向き合わなければいけない背景に、終身雇用制度に頼れなくなることが挙げられます。
今の日本社会は、以前は当たり前だった終身雇用制度がほぼ崩壊しています。それは、実力主義的な社会になってきていることを意味し、今後も加速していくでしょう。
そのため、会社に長く在籍すれば勝手にキャリアアップし、定年まで安泰に過ごせる時代が終わることは明白です。
つまり、近い将来では自分のキャリアは自分で考え、そこに向かって努力する必要があるということです。そのためにも、しっかりと自分のキャリアに向き合う必要があります。
働き方が多様化しているから
働き方が多様化していることも、キャリアに向き合う理由の一つです。
働き方が多様化しているということは、それだけキャリアの選択肢が増えてきていることを意味します。たとえば、エンジニアの中でもさまざまなニーズから、多数の種類のエンジニア職が生み出されています。
昔のように、会社や上司の指示に従えばよかった時代は終わり、何を選択するかは自分で決断する必要があります。
多様な働き方から本当に自分のやりたいことを見つけ、それを実現するためには、まずはしっかりとキャリアと向き合う必要があるでしょう。
キャリアプランの立て方
次に、キャリアプランの立て方について解説します。
キャリアプランは、次の3ステップで立てられます。
それぞれのステップごとに、詳しく解説します。
ステップ1:将来のありたい姿を考える
まずは、将来のありたい姿を考える必要があります。
キャリアプランは、現在地から将来のゴールまでの道筋を表すものです。そのため、まずはゴールである将来のありたい姿を明確にする必要があります。
このステップで重要なことが、本質的な自己分析です。
自己分析により「自分が本当にやりたいことはなにか?」「なんのために働いているのか?」など、あなた自身の感情や思考を深掘りしていく必要があります。
その結果、将来のありたい姿がみえてきて、それをキャリアプランのゴールに設定するのです。
ステップ2:現状の立ち位置を考える
次のステップでは、現状の立ち位置を考えます。
将来のありたい姿(ゴール)が明確になったら、現状の立ち位置を把握することが重要です。現状の立ち位置とは、今のあなたの労働環境や、持っているスキル、仕事に対する感情などです。
これらを全て棚卸しすることで、現状の立ち位置が明確になります。
現状の立ち位置が不明確の状態でキャリアプランを作成すると、ゴールまでのアクションプランを間違えて設定することになります。
そのため、時間をかけてでも現状の洗い出しをおこないましょう。
ステップ3:将来と現状のギャップを埋めるアクションを考える
最後のステップで、将来と現状のギャップを埋めるアクションプランを考えます。
設定した将来のゴールと、洗い出した現状のスタート地点とを埋める、具体的な計画がキャリアプランになります。
たとえば、プログラマーからシステムエンジニアを目指すキャリアプランの場合、「5年以内に情報処理技術者試験に合格する」というように、できる限り具体的なアクションプランに落とし込むことが大切です。
キャリアプランは立てて終了ではなく、ゴールに向けて行動することが大切です。そのため、行動を起こしやすく実現可能なアクションプランを設定する必要があるでしょう。
キャリアをしっかり考えると転職活動がうまくいく
今は終身雇用制度が実質的に崩壊しているため、ある意味自由に自分の職業を選択できる時代となっています。その状況のなか、キャリアをしっかり考えることの最大の意味は「転職活動がうまくいく」ことです。
今回は「キャリアプラン」「キャリアパス」「キャリアデザイン」の3つについて考えてきましたが、どの概念でも重要なことは「現状(現在地)」と「理想状態(ゴール)」を明確にするということです。
現状と理想状態が把握できて、今の企業ではその理想状態を達成できないことがわかったら、転職を考えるきっかけとなるでしょう。そして理想の状態に対して、自分に足りないスキルや知識がみえているため、転職活動の対策も考えやすくなります。
キャリアプランやキャリアデザインの構築によって、自分のプライベートを含めた働き方の道すじは見えてくるはずです。そこで、キャリアパスという企業が想定するキャリアの道すじを重ねることによって、自分にとっての最適な転職先を見つけられます。
つまり、キャリアについて考えるということは、転職先を選ぶ際のミスマッチのリスクも減らせるということです。
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