失業保険を会社都合退職で受け取る方法・手続き
会社都合退職で失業保険の支給を受けるためには、複数の段階を経た手続きが必要です。
まず必要書類を準備してハローワークで申請をおこない、待期期間を経て説明会に参加します。
その後、継続的な求職活動をおこないながら定期的な認定手続きを受けることで、実際の給付を受けられます。
失業保険を会社都合退職で受け取る手続きについて、以下の内容で解説します。
必要書類の準備
会社都合退職で失業保険を受給するためには、事前の書類準備が欠かせません。
手続きをスムーズに進めるためには、必要な書類を漏れなくそろえることが重要です。
必要となる書類は次の通りです。
失業保険手続きに必要な書類
- 雇用保険被保険者証
- 離職票
- マイナンバーカード
- 顔写真(縦3cm×横2.5cm)2枚
- 印鑑
- 預金通帳またはキャッシュカード
まず、会社から受け取る必要がある書類として、雇用保険被保険者証と離職票があります。
これらは退職時に自動的に渡されるものではないため、退職が決まった段階で人事部や総務部に対して発行を依頼しておくことが必要です。
特に離職票は失業保険申請の核となる書類のため、確実に受け取れるよう事前確認をおこないましょう。

これらの書類がそろえば、ハローワークでの手続きに進みます。
ハローワークで失業保険の手続き
失業保険の手続きは、地域を管轄するハローワークでおこないます。
まず、事前に準備した求職申込書や離職票などの必要書類を窓口に提出します。
この際、書類に不備があると手続きが遅れる可能性があるため、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
失業保険の申請には期限が設けられており、原則として離職日の翌日から1年以内に手続きを完了しなければなりません。
期限を過ぎてしまうと受給権を失う可能性があるため、注意が必要です。

会社都合退職の場合は、申請から1ヶ月程度で実際の給付が開始されます。
自己都合退職と比べて待期期間が短いため、退職後はできるだけ早めに手続きを済ませましょう。
書類提出の際には、担当者との面談がおこなわれます。
面談では退職理由や就職への意欲などが確認されるため、正直かつ丁寧に対応することが重要です。
関連記事
失業保険を受給するための手続きについては「失業保険の手続きの流れは?ハローワークで受け取る方法や貰える期間も解説」の記事で詳しく解説しています。
7日間の待期期間
ハローワークで失業保険の手続きを完了すると、すぐに支給が始まるわけではなく、まず7日間の待期期間が設けられます。
待期期間は、申請者が本当に失業状態にあるのかを確認するための期間であり、会社都合退職・自己都合退職にかかわらず、すべての受給者に適用されます。
会社都合退職の場合は、7日間の待期期間が終了すれば給付開始となりますが、自己都合退職の場合は待期期間終了後にさらに原則1~3ヶ月間の給付制限期間が設けられるため、実際の受給開始まで期間を要することに注意が必要です。

待期期間中はパートやアルバイトなどで収入を得てしまうと、その分だけ期間が延長されます。
給付開始が遅れることになるため、7日間は完全に就労を控えなければなりません。
雇用保険受給者初回説明会に参加
失業保険の受給手続きにおいて、雇用保険受給者初回説明会への参加は会社都合退職の場合でも必須です。
説明会では、失業保険の基本的な仕組みから始まり、受給条件や給付期間中に遵守すべきルールについて詳細な説明がおこなわれます。
どのような場合に支給が停止されるのか、求職活動の報告義務はどの程度なのかなど、実際の受給生活で重要となる情報が提供されます。
また、効果的な求職活動の進め方についても具体的なアドバイスを受けられることも特徴です。
履歴書の書き方や面接対策、求人の探し方など、転職成功に向けた実践的な情報も得られる貴重な機会です。

説明会への参加を怠ると、失業保険の支給開始が遅れてしまう可能性があるため、指定された日時には必ず出席しなければなりません。
求職活動の開始
失業保険を継続して受給するためには、定期的に設定される失業認定日までに求職活動をおこなう必要があります。
受給者が本当に就職する意欲を持って活動しているかを確認するための重要な仕組みです。
会社都合退職や自己都合退職によらず、初回の失業認定日までには最低1回の求職活動実績が必要とされています。
一方で、最初の求職活動については、雇用保険受給者初回説明会への参加がそのまま実績として認められるため、特別に何かをおこなう必要はありません。

実質的な求職活動は給付が開始される2ヶ月目から本格的に始めれば問題ありません。
求職活動の実績作りにはさまざまな方法がありますが、効率的に進めたい場合は転職エージェントのオンラインセミナー参加がおすすめです。
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失業保険の申請と同時に登録しておけば、求職活動実績の確保と転職活動の両方を効率的に進められます。
関連記事
ハローワークの求職活動実績の作り方や裏ワザについては「求職活動実績を簡単に作る裏ワザ7選!求職活動実績として認められないケースも紹介」「ハローワークの職業相談で実績作りはできる!簡単にできる実績作り6選と注意点も紹介」の記事で詳しく解説しています。
失業認定日当日にハローワークで手続き
失業保険の受給において、失業認定日当日の手続きは重要なステップです。
受給資格が決定されてから約1ヶ月以内に初回の失業認定日が設定され、この日には必ずハローワークに出向く必要があります。
当日の手続きでおこなわれるのは、まず提出された書類の審査です。
求職活動報告書や失業認定申告書などの内容を確認し、適切に求職活動がおこなわれているかがチェックされます。
その後、担当者との面談が実施され、現在も積極的に求職活動を続けているか、また就業していない状態が継続しているかが確認されます。

審査と面談を通じて、受給者が失業保険の給付要件を満たしていると認められた場合、正式に失業保険の支給決定となる流れです。
初回の受給額については、7日間の待期期間が終了した翌日から失業認定日の前日までの期間分として算出され、数日後に指定の口座に振り込まれます。
失業保険の受け取り
ハローワークでの失業認定手続きが問題なく完了すると、支給はスピーディーにおこなわれます。
通常は5営業日以内とされていますが、実際には2~3日以内に指定した銀行口座へ振り込まれることが多く、初回認定日から1週間以内には受給期間分の金額を受け取れます。
失業保険は一度認定を受けて終わりではありません。
会社都合退職の場合でも初回の失業認定から4週間後に次回の失業認定日が設定され、この4週間の間に毎月2回以上の求職活動をおこなう必要があります。
特殊なケースとして、失業保険の支給期間の延長も可能です。
ただし、延長には厳格な条件があり、怪我や病気、妊娠、家族の介護などの理由で30日以上働けない場合に限られます。

延長を希望する場合は、医師の診断書や証明書類の提出が必要となることが多いため、事前にハローワークで詳しい手続き方法を確認することが大切です。
失業保険を会社都合退職でもらうときの日数や金額
会社都合退職で失業保険を受給する際に気になるのが、いつから支給開始となるのか、そしてどの程度の金額を受け取れるのかという点です。
会社都合退職は自己都合退職と比べて受給条件が優遇されており、給付開始時期や受給金額の計算方法にも違いがあります。
失業保険を会社都合退職でもらうときの日数や金額について、以下の内容で解説します。
失業保険を会社都合退職でもらう際はいつからもらえる
会社都合退職で失業保険を受給する場合、自己都合退職と比べて手厚いサポートが受けられます。
最も大きな違いは給付制限期間がないことで、ハローワークでの申し込み手続きを完了してから1ヶ月程度で実際の給付が開始されます。
また、給付期間は離職時の年齢や雇用保険への加入期間によって決まり、最長で330日間の給付を受けられます。
具体的な給付期間は次の通りです。
保険者期間が1年未満の場合 | |
---|---|
年齢 | 給付期間 |
30歳未満 | 90日 |
30歳以上35歳未満 | 120日 |
35歳以上45歳未満 | 150日 |
45歳以上60歳未満 | 180日 |
60歳以上65歳未満 | 150日 |
保険者期間が1年以上5年未満の場合 | |
---|---|
年齢 | 給付期間 |
30歳未満 | 120日 |
30歳以上45歳未満 | 180日 |
45歳以上60歳未満 | 240日 |
60歳以上65歳未満 | 180日 |
保険者期間が10年以上20年未満の場合 | |
---|---|
年齢 | 給付期間 |
30歳未満 | 180日 |
30歳以上35歳未満 | 210日 |
35歳以上45歳未満 | 240日 |
45歳以上60歳未満 | 270日 |
60歳以上65歳未満 | 210日 |
保険者期間が20年以上の場合 | |
---|---|
年齢 | 給付期間 |
30歳未満 | なし |
30歳以上35歳未満 | 240日 |
35歳以上45歳未満 | 270日 |
45歳以上60歳未満 | 330日 |
60歳以上65歳未満 | 240日 |

長い給付期間により、焦らずじっくりと次の職場を探せるため、安心して転職活動に専念できる環境が整っています。
雇用保険の加入期間が不明な場合は、マイナポータルでの確認やハローワーク窓口での照会が可能です。
失業保険を会社都合退職でもらう際はいくらもらえる
会社都合退職で受け取れる失業保険のもらえる金額は、いくつかの計算段階を経て決定されます。
まず、離職前6ヶ月間に支払われた給与(ボーナス除く)の合計を180日で割ることで「賃金日額」を算出します。
次に、賃金日額と年齢に応じて定められた給付率を掛け合わせて「基本手当日額」を計算します。
年齢・賃金日額に応じた給付率と基本手当日額の目安は下記の通りです。
離職時の年齢 | 賃金日額 | 給付率 | 基本手当日額の目安 |
---|---|---|---|
29歳以下 | 2,869円以上5,200円未満 | 80% | 2,295円~4,159円 |
5,200円以上12,790円以下 | 50〜80% | 4,160円~6,395円 | |
12,790円超14,130円以下 | 50% | 6,395円~7,065円 | |
14,130円超〜 | - | 7,065円 | |
30〜44歳 | 2,869円以上5,200円未満 | 80% | 2,295円~4,159円 |
5,200円以上12,790円以下 | 50〜80% | 4,160円~6,395円 | |
12,790円超15,690円以下 | 50% | 6,395円~7,845円 | |
15,690円超〜 | - | 7,845円 | |
45〜59歳 | 2,869円以上5,200円未満 | 80% | 2,295円~4,159円 |
5,200円以上12,790円以下 | 50〜80% | 4,160円~6,395円 | |
12,790円超17,270円以下 | 50% | 6,395円~8,635円 | |
17,270円超〜 | - | 8,635円 | |
60〜64歳 | 2,869円以上5,200円未満 | 80% | 2,295円~4,159円 |
5,200円以上11,490円以下 | 45〜80% | 4,160円~5,170円 | |
11,490円超16,490円以下 | 45% | 5,170円~7,420円 | |
16,490円超〜 | - | 7,420円 |
なお、上限と下限がそれぞれ設けられており、基本手当日額と賃金日額の制限は次の通りです。
離職時の年齢 | 基本手当日額の上限額 | 賃金日額の上限額 |
---|---|---|
29歳以下 | 7,065円 | 14,130円 |
30〜44歳 | 7,845円 | 15,690円 |
45〜59歳 | 8,635円 | 17,270円 |
60〜64歳 | 7,420円 | 16,490円 |
最終的にもらえる総支給額は、基本手当日額に受給可能日数を掛けた金額です。
一方で、失業保険は在職時の給与と同額ではなく、期間も限定されているため、早めの転職活動が重要です。
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会社都合退職と自己都合退職の違い
失業保険を受給する際、退職理由が「会社都合」か「自己都合」かによって受給条件が異なります。
違いを正しく理解することは、失業保険の受給において重要です。
会社都合退職と自己都合退職では、給付開始時期、受給期間、受給金額などの条件に大きな差があり、また転職活動における印象も変わってきます。
会社都合退職と自己都合退職の違いについて、以下の内容で解説します。
会社都合退職とは
会社都合退職は、労働者側に働く意欲があっても、会社の都合によって退職せざるを得ない状況を指します。
具体的には次のケースが該当するとされています。
会社都合退職にあてはまるケース
- 会社倒産による退職
- リストラによる退職
- 会社の独断での給与未払いや給与カットによる退職
- 希望退職制度による退職
- 派遣の雇い止めによる退職

失業保険の受給条件においても、会社都合退職は自己都合退職と比べて給付制限期間などさまざまな優遇がされています。
申請には期限があり、離職日の翌日から1年以内に手続きを完了する必要があります。
期限内であればいつでも申請可能ですが、遅れるほど受給開始が遅くなり、結果的にもらえる給付総額も減ってしまうため注意が必要です。
会社都合退職であっても、継続受給のためには、自己都合退職と同様に月2回の求職活動実績が欠かせません。

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自己都合退職とは
自己都合退職は、労働者が自分の意思と都合により退職を申し出る場合を指します。
具体的には、結婚や妊娠、出産、育児といった人生の節目による退職、引っ越しや家族の介護などの家庭事情による退職が対象です。
また、キャリアアップや待遇改善を目指した転職による退職も、自己都合退職として扱われます。
失業保険の受給においては、自己都合退職は会社都合退職と比べてもらえる条件が厳しく設定されているため注意が必要です。
退職理由の判断が難しい場合は、まず会社側に確認しなければなりません。

本来は会社都合退職であるにもかかわらず、知らないうちに自己都合退職として処理されてしまうトラブルを避けるためにも、退職前に退職理由について明確にしておくことをおすすめします。
会社都合退職で失業保険を受け取るメリット・デメリット
会社都合退職で失業保険を受給する場合、自己都合退職と比べて受給条件が優遇される一方で、採用企業側からの見方や転職活動への影響など転職活動においては注意すべき点もあります。
会社都合退職で失業保険を受け取るメリット・デメリットについて、以下の内容で解説します。
会社都合退職で失業保険を受け取るメリット
会社都合退職における失業保険受給のメリットは、自己都合退職と比較して給付条件が優遇されていることです。
なぜなら、労働者側に退職の責任がないことを考慮した制度設計となっているためです。
まず、受給開始時期に違いがあります。
自己都合退職では7日間の待期期間に加えて原則1~3ヶ月の給付制限期間が設けられているため、実際の給付開始まで約3ヶ月かかります。
一方、会社都合退職では給付制限期間がないため、待期期間終了後すぐに給付が開始され、手続きから約1ヶ月で受給できる点が特徴です。
また、会社都合退職の場合、最大で330日間の給付を受けられます。
自己都合退職では最大150日と、会社都合退職の半分以下の期間しか給付を受けられません。

優遇措置により、会社都合退職者は経済的な不安を軽減しながら、より時間をかけて次の就職先を探せます。
会社都合退職で失業保険を受け取るデメリット
会社都合退職には失業保険の優遇措置のメリットがある一方で、転職活動時に重要なデメリットも存在します。
履歴書に「会社都合による退職」と記載されていると、採用担当者や面接官は必ずその理由を詳しく確認します。

特に、解雇通知を受けた場合や退職勧告による離職の場合、企業の選考担当者からは「それだけの価値しかない人材なのか」と、厳しい目で見られかねません。
個人の業績不振や実力不足、就労態度の問題、人間関係上のトラブルなどによる普通解雇や退職勧奨であれば、選考で不利になるリスクは特に高くなる傾向です。
また、自己都合退職なら事前に生活費を蓄えてから退職できますが、会社都合退職では準備期間がありません。
そのため、できるだけ早く次の仕事を見つける必要があり、効率的な転職活動が求められます。
効率的な転職活動が求められる状況では、複数の転職エージェントを活用することが重要です。

中でも豊富な求人数と実績を持つリクルートエージェントなら、あなたの条件に合った仕事を効率的に見つけられます。
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自己都合退職で失業保険を受け取るメリット・デメリット
自己都合退職で失業保険を受給する場合、失業保険の給付条件では会社都合退職より不利になる一方で、転職活動においては有利に働く側面があります。
自己都合での退職を検討している人は、特徴を十分に理解したうえで、総合的な判断をおこなうことが重要です。
自己都合退職で失業保険を受け取るメリット・デメリットについて、以下の内容で解説します。
自己都合退職で失業保険を受け取るメリット
自己都合退職におけるメリットは、転職活動において前向きな退職理由としてアピールできることです。
自分の意思による退職のため、キャリアアップや新しい分野への挑戦、スキル向上といったポジティブな動機として説明できます。
履歴書や職務経歴書への記載においても、「一身上の都合により退職」とする一般的な表現で十分であり、詳細な説明を求められることは少なくなる傾向です。
そのため、書類選考の段階で不利になるリスクを最小限に抑えられます。
また、自己都合退職では退職のタイミングを自分でコントロールできるメリットがあります。
転職先が決まってから退職する、ボーナスの支給後に退職するなど、経済的にも精神的にも余裕を持った計画的な退職が可能です。

面接時には退職理由について質問される場合もありますが、自己都合退職であれば「より良い環境で成長したい」「新しいスキルを身につけたい」といった前向きな理由として説明できます。
自己都合退職で失業保険を受け取るデメリット
自己都合退職におけるデメリットは、失業保険の給付開始が大幅に遅れることです。
会社都合退職では7日間の待期期間後すぐに給付が始まりますが、自己都合退職の場合はさらに原則1~3ヶ月の給付制限期間が設けられます。
給付制限期間中は失業保険を一切受け取れないため、退職後しばらくの間は収入がない状態が続きます。
転職先が決まっていない状態で退職した場合、給付制限期間は経済的に不安定になり、生活費の確保が課題となりかねません。

さらに、多くの企業では、会社都合退職と自己都合退職で退職金の支給額に差を設けており、自己都合退職の場合は減額されるか、場合によっては全く受け取れないこともあります。
会社都合退職により手厚い退職金制度を設けている企業では、自己都合退職による支給額の減少幅が大きくなる可能性があります。
会社都合退職で失業保険を受け取る際の注意点
会社都合退職で失業保険を受給する際には、受給条件が優遇されている反面、守るべきルールや注意すべきポイントがあります。
退職理由が本当に会社都合として認められるかの判断基準を理解し、受給期間中の求職活動義務や就労時の申告義務を適切におこなうことが重要です。
会社都合退職で失業保険を受け取る際の注意点について、以下の内容で解説します。
会社都合退職にならないケースを理解しておく
会社都合退職で失業保険を受給する際には、自分が本当に会社都合退職の対象となるかを正確に把握しておくことが重要です。
一見すると会社側からの一方的な退職勧告に思えても、実際には自己都合退職として扱われてしまうケースが存在するためです。
例えば、犯罪行為や職務規定に反する行為による解雇、会社の設備や器具を故意に破壊したことによる解雇などは自己都合退職に該当します。
これらの場合、たとえ労働者が退職を望んでいなかったとしても、会社都合退職としては認められません。
また、遅刻や欠勤を繰り返す、職場での素行不良、業務命令への不服従など、就業規則に明記された禁止事項に違反した結果の解雇も、労働者側に責任があるとみなされます。
懲戒解雇での退職の場合は、自己都合退職として判断されがちです。

懲戒解雇は労働者の重大な規律違反に対する最も重い処分であるため、失業保険の給付においても厳しく扱われます。
月2回以上の求職活動
会社都合退職で失業保険を受け取る際の注意点の一つが、失業保険の継続受給には、月2回以上の求職活動実績が必要な点です。
同じ企業に対する説明会参加、書類選考、面接などは、すべて合わせて1回の実績としてカウントされます。
そのため、求人への応募のみで実績を作る場合は、1ヶ月間に最低でも2社以上の異なる企業にアプローチしなければなりません。
求職活動実績として認められている活動は次の通りです。
求職活動実績の例
- 求人への応募
- ハローワーク等が行う職業相談、職業紹介、各種講習・セミナーの受講等
- 許可・届出のある民間事業者(民間職業紹介事業者、労働派遣事業者)が行う職業相談、職業紹介、各種講習・セミナーの受講等
- 公的機関(地方自治体、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構、求人情報提供会社、新聞社等)が行う職業相談、各種講習・セミナー、個別相談が出来る企業説明会等の受講、参加等
- 再就職に資する各種国家試験、検定等の資格試験の受験等

効率的に求職活動実績を作りたい場合は、リクルートエージェントのオンラインセミナー参加がおすすめです。
転職活動に役立つ情報を学べるうえ、失業認定日前日の視聴でも実績として認められます。
日本最大級のエージェントとして90万件以上の求人を保有し、プロのアドバイザーによる転職支援も受けられるため、ぜひ活用してみてください。
関連記事
求職活動実績の作り方については「求職活動実績はオンラインセミナーばかりでも大丈夫?実績づくりのコツを解説」の記事で詳しく解説しています。
受給期間中の就労は漏れなく申告する
会社都合退職であっても、失業保険を受給している期間中は、どのような形の就労も必ず申告することに注意しなければなりません。
アルバイトはもちろん、無報酬のボランティア活動も含まれます。
失業認定日には、期間中の就労状況について正確に報告する必要があります。
就労の申告を怠って給付金を受け取った場合、不正受給の対象です。
不正受給は法律で厳しく禁じられており、発覚した場合には受給した給付金の全額返還に加えて、さらに罰金が科されます。
就労時間や期間によっては、受給資格そのものを失う場合もあります。

週20時間を超える就労、または31日以上の雇用が見込まれる就労をした場合は、「就職した」とみなされ、失業保険の受給資格がなくなるため注意が必要です。
たとえ週20時間に満たない短時間の就労であっても、その分の給付金が減額されたり、給付日が先送りされたりする可能性があります。
再就職が決まると再就職手当(お祝い金)を受け取れる
失業保険受給期間中に再就職が決定した場合、会社都合退職の場合でも失業手当の支給は即座に停止します。
代わりに再就職手当のお祝い金を受け取れる制度が用意されています。
再就職が決まったら、速やかにハローワークに報告することが重要です。
ハローワークでは、失業保険の受給を終了する手続きを正式におこなう必要があります。
手続きには、再就職先の雇用契約書や勤務開始日を証明する書類の提出が求められ、ハローワーク側で再就職の状況を確認します。
再就職手当を受け取るためには、いくつかの条件を満たさなければなりません。

最も重要な条件は、失業手当の残り給付日数が全体の3分の1以上残っていることです。
また、新しい職場で1年を超えて働くことが確実であると認められることも必要な条件です。
その他にも、待期期間の経過後の就職であることや、離職前の事業主に再び雇用されるものでないことなど、細かな要件があります
会社都合退職で失業保険を受け取る際によくある質問
会社都合退職で失業保険を受け取る際によくある質問と回答内容を紹介します。
失業保険の手続きを進める際の参考にしてみてください。
失業保険が会社都合になる場合はどうなる?
会社都合退職で失業保険を受給する場合、給付開始までの期間が短くなります。
ハローワークで受給資格が認定された後、法定の7日間の待期期間が経過すればすぐに基本手当の支給が始まるためです。
この7日間の待期期間は、申請者が本当に失業状態にあるかを確認するための期間で、会社都合・自己都合にかかわらずすべての受給者に適用されます。一方で、自己都合退職では待期期間終了後にさらに1~3ヶ月の給付制限期間が設けられるのに対し、会社都合退職では制限期間がありません。
失業手当を会社都合にするにはどうしたらいいですか?
失業手当を会社都合として認定してもらうためには、まず会社都合退職に該当する正当な理由があることを証明しなければなりません。
会社都合退職が認められれば、給付制限期間がなく早期に受給開始でき、受給期間も長くなるなど優遇を受けられます。
自己都合退職として離職票が発行された後でも、実際の退職理由が会社都合に該当する場合は変更が可能です。
この場合、ハローワークに対して会社都合退職に値する正当な理由があったことを客観的な証拠とともに申し立てる必要があります。
会社都合で会社を辞めた場合、失業保険は何ヶ月もらえる?
会社都合退職における失業保険の給付日数は、90日から最大330日まで幅広く設定されています。
受給期間は、離職時の年齢と雇用保険への加入期間の要素によって決定されます。
一般的に、年齢が高いほど再就職が困難になる傾向があることから、45歳以上の離職者には特に手厚い給付が用意されていることが特徴です。
また、雇用保険への加入期間が長いことは、それだけ長期間にわたって雇用保険料を納付してきたことを意味するため、より長期間の給付を受ける権利があるとみなされます。
会社都合退職で失業保険を受け取る際は求職活動実績作りに注意しよう
今回の記事では、会社都合退職での失業保険受給について詳しく解説しました。
会社都合退職は自己都合退職と比べて給付制限期間がなく、手続きから約1ヶ月で受給開始となる大きなメリットがあります。

また、最大330日と長期間の給付を受けられるため、じっくりと転職活動に取り組めることもメリットです。
ただし、受給期間中は月2回以上の求職活動実績が必要で、就労した場合の申告義務もあります。
また、転職活動では退職理由について詳しく確認される可能性があるため、事前の準備が重要です。

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リクルートエージェントのセミナーを求職活動実績とする方法については「リクルートエージェントのオンラインセミナーは求職活動実績にできるのかを解説」の記事で詳しく解説しています。
マイナンバーカードを持っていない人でも、通知カードや住民票記載事項証明書での申請が可能ですので、ご自身の状況に応じて準備してください。