引き抜き転職とヘッドハンティングの違い
引き抜き転職とヘッドハンティングによる転職、どちらとも企業からスカウトを受けて転職をすることは共通していますが、この2つにはいくつかの違いがあります。
引き抜き転職 | ヘッドハンティング |
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引き抜き転職は、企業が優秀な人材に対して直接スカウトし交渉するのに対し、ヘッドハンティングは、人材紹介会社が仲介し交渉をおこないます。
また、引き抜き転職が役職に関係なく、どのようなポジションでも幅広くスカウトの対象としているのに対し、ヘッドハンティングは役職に就いている人をスカウトの対象に限定していることが大半です。
引き抜き転職は違法ではない!
引き抜き転職やヘッドハンティングは違法ではありません。
憲法によって「職業選択の自由」が保障されているため、社員が自らの意志で引き抜きに応じ転職することは適法です。
ただし、前職の職務で知り得た情報を転職先で利用した場合は守秘義務違反となり、訴訟問題まで発展するケースもあるので、守秘義務は必ず守ってください。
引き抜き転職のメリット
引き抜き転職では、転職サイトを利用して自らおこなう転職では、なかなか得られないメリットがあります。
ここでは、引き抜き転職の4つのメリットを紹介します。
年収が上がる可能性がある
あなたのスキルや経験が評価され、企業が求めている人材像とマッチしているため、引き抜きがおこなわれます。そのため、今の年収よりも高い年収を提示されることが大半です。
あなたが企業からスカウトを受けた場合、あなたを即戦力として見ているため獲得に向けた企業の熱量は大きいです。そのため、高い年収やあなたの希望を叶えるような待遇を提示します。
また、引き抜きをしたい人材に、現在と変わらない・もしくは低い年収を提示しても、リスクを冒してまで転職をしないことは企業もわかっています。そのため、魅力的な条件を提示して、欲しいと思った人材を獲得しようと企業は動くのです。
ただし、条件に齟齬が発生することもあるので注意が必要です。後ほど詳しく紹介しますが、きちんと条件を確認せずに引き抜きを受けたことにより、入社後のトラブルになったケースも存在します。
好条件だからといって中身をよく確認せずに企業からの引き抜きを受けることは辞めましょう。
キャリアアップが期待できる
企業はあなたの入社後の活躍に期待しているため、それに見合った役職や、今の仕事よりも責任のある役割を任せられることがあります。
企業から引き抜きのスカウトを受けるということは、あなたが今の仕事で発揮してきた能力や、培ってきたスキル・経験が企業に評価されているということです。
企業側としては、それらの能力や経験を自社で存分に発揮してほしいと考えるため、引き抜きをおこないます。そのため、見合った役職や責任のある役割を任せられることがあるのです。
また、入社後すぐには役職に就くことができなくても、そこからの具体的なキャリアステップを提示され、その後の昇進を保証する企業もあります。
今の会社では、様々な理由によってキャリアアップが出来なかった人も、引き抜きを受けることによってキャリアアップできるチャンスがあります。
ただし、キャリアアップを期待できるとしても、仕事内容や職場の雰囲気があなたに合わなければ、長く働くことはできません。引き抜きを受ける前に、具体的な仕事内容や職場の雰囲気などを確認しておきましょう。
転職活動の労力が少なくて済む
引き抜き転職は、転職サイトのように自分で能動的に転職活動をする必要がありません。労力が少なくて済むので、現職で働きながら転職したい人にとっては良い転職方法です。
転職サイトを利用して転職活動をおこなう場合は、以下のことを自らおこなわなければなりません。
- 求人の選択
- 応募書類の作成
- 面接対策
- 選考の日程調整
- 内定後の条件交渉
これらを働きながらおこなうことは非常に忙しく大変です。場合によっては平日に休暇を取得したり早退しなければならないこともあるでしょう。
しかし、引き抜き転職は入社を前提としたオファーであるため、求人の選択や応募書類の作成などのプロセスは省略されます。
さらに、面接に関しても日程を柔軟に調整してもらえたり、そもそも面接をおこなわないこともあります。
このように、引き抜き転職は転職活動で必要となるプロセスを省略することができるので、労力が少なく且つ短期間で転職ができるのです。
良い評価を受けた状態で入社ができる
繰り返しになりますが、企業はあなたのスキルや経験を評価しているため、引き抜きのオファーを出しています。そのため、引き抜き転職は、あらかじめ企業に評価された状態で入社でき、転職後は社内で高い評価を受けた段階からスタートすることができます。
評価を受けていない状態で転職した場合は、周囲からの信頼を得られるよう地道な積み重ねが必要となるでしょう。一方、高い評価を受けた状態でスタートできれば、周囲からは「能力が高い人が入社してきた」と思われるので、周囲から信頼された状態からスタートできます。
周囲から信頼されているので、職場に馴染みやすかったり、自分の立ち位置を確立する助けとなるでしょう。
しかし、高い評価を受けるということは、それだけ成果をあげることを期待されるということです。後ほど詳しく紹介しますが、期待によるプレッシャーがストレスになることもあります。
引き抜きに応じるかどうかを検討するときは、あなたのスキルや経験が企業から求められてるレベルに見合っているか、慎重に考えましょう。
引き抜き転職のデメリット
先ほども軽く触れましたが、引き抜き転職にはメリットだけではなくデメリットも存在します。デメリットを正しく理解せずに、目の前の好条件に飛びついて引き抜き転職をしてしまうと、後悔してしまうことがあります。
ここでは、引き抜き転職の4つのデメリットを紹介していきます。
前職とのトラブルが起こりやすい
引き抜きされることを社内の人に知られるとよく思われないケースもあります。また、引き抜き転職は同業界内で盛んにおこなわれていることから、同業他社に社内情報を漏らさないか懸念を持たれることもあります。
引き抜きされることを伝えたために、引き抜きをよく思わない人たちによって、退職までの間、肩身の狭い思いをさせられることもあります。
また、同業他社に社内情報を漏らさないか懸念を持たれるので、社内で知り得た情報の取り扱いは慎重におこなわなければなりません。
特に、社内の機密情報や顧客情報を転職先で利用した場合、不当競争防止法などの罪に問われるケースも存在します。
このようなリスクを避けるためにも、退職日まで仕事の質を変えずに誠実に勤務するとともに、社内で知り得た情報は慎重に取り扱うことを心掛けましょう。
期待値が高いのでストレスを感じやすい
引き抜き転職は、入社の段階で高い評価を受けているため期待値が高いです。そのため、期待に応えなくてはというプレッシャーが大きくなり、ストレスを感じてしまう人もいます。
常に成果をあげることを求められ、さらに成果を上げても当たり前だと思われてしまうこともあります。
このような状況下でも本来のパフォーマンスを発揮できる人であれば問題ありませんが、大きなプレッシャーを感じると本来のパフォーマンスを発揮できなくなる人にとってはストレスに感じるでしょう。
そのため、引き抜きを受けるかどうか判断するときは、あなたの能力や経験と企業側からの期待値にギャップがないか、プレッシャーの中でも本来のパフォーマンスを発揮できるかなどを考慮し判断する必要があります。
もし、あなたの能力や経験と企業からの期待値にギャップがあるのであれば、断ることも検討する必要があります。
期待に応えられなかった場合、条件が変わるケースもある
あなたが企業からの期待に応えられなかった場合、給与が下がったり、異動するケースがあります。
企業はあなたの能力やスキル、経験を評価し、自社での活躍を見込んで条件を提示しています。そのため、企業からの期待に応えられなかった場合、活躍を見込んで提示した条件よりも、低い条件へと変更されることがあるのです。
もちろん、いきなり解雇というケースはありませんが、給与が下がったり、別部署への異動を命じられることはあり得ます。
また、「引き抜きで来たのに、これくらいのことしかできないの?」と周囲からの風当たりが強くなってしまうこともあります。
このようなことにならないためにも、あなたの能力や経験と企業側からの期待にギャップがないか正しく判断することが大切です。
条件に齟齬が起こるケースがある
引き抜き転職は第三者が介入しません。そのため人事労務の体制がしっかりしていない企業の場合、最初に提示された条件と入社後の条件が異なるケースが発生した人もいます。
例えば、「提示されていた条件に、最初から45時間分の時間外手当が含まれていた」「最初に提示された業務以外にも、複数の業務を担当させられた」というケースが実際に発生しています。
転職エージェントやヘッドハンターなどの第三者が介入していれば、第三者の視点が入るので、このようなケースが発生することは稀です。しかし、引き抜き転職は第三者が介入せず企業と直接のやりとりとなるため、条件の認識に齟齬が生まれやすいのです。
条件の認識に齟齬があり、あなたが望まない転職とならないように、条件については細かいところまでしっかりと確認することが大切です。また不明点が発生した場合は、入社前に企業側に確認するようにしましょう。
引き抜き転職をした体験談
ここでは、実際に引き抜き転職をした人の体験談を紹介します。
体験談1
ウチの長女も体調崩して休職するほどのブラックで会う度に会社クソって泣いてたけど今月引き抜きで転職したのよ
お給料も待遇も段違いに良くて何より能力を認めてくれるって。ひとつの会社にずっと居続けてたら分からなかったって言ってたよ。心配だったけど良い方に転んだって訳。だからきっと大丈夫
引用:X(旧Twitter)
体験談2
辞める2年くらい前から他を探し始めて、半年の交渉の末、結果、好条件で引き抜きになりました。どうせ辞める事になるなら、行動をした方がいいですよ。ただし、今より悪条件にならない様、慎重に。
引用:X(旧Twitter)
体験談3
転職失敗。2度目の転職は引き抜き。カフェで3時間。部長と面談。
「経験で会社を変えて欲しい」と言われて決意した。いざ入社、やりたかったことができる!強みを発揮できる!と思ったけど違った。
むしろ何倍も弱みを埋めなきゃいけない環境。役割をこなせなきゃ組織は変えられない。
引用:X(旧Twitter)
引き抜き転職で失敗しないための方法
引き抜き転職で失敗しないための方法は以下の4つです。
この4つを実行することで、引き抜き転職を成功させることができます。
前職で退職を伝える前に転職先のオファー条件を書面で提示してもらう
オファーの条件は口約束ではなく、しっかりとオファーレターとして提示してもらってください。
前職に退職することを伝えた後に、口頭のみで提示されていた条件と違う書面をもらった場合、「やっぱり前職に残りたい」と思っても残りづらいくなってしまいます。
書面で提示してもらうと証拠として残すことができ「言った言わなかった」の水掛け論となることを防ぐことができます。
口約束によるトラブルを防ぐためにも、前職に退職を伝える前にオファー条件を書面で提示してもらってください。
退職・入社を交渉する
条件を書面で提示してもらい、あなたがその条件に納得できたのであれば、退職・入社の日程交渉に移ります。
転職先がいつから入社してほしいと考えているかは、企業の内部状況によって異なります。企業側がいつ入社してほしいのかを聞いた上で、あなたがいつ頃退職できそうなのかを確認し、具体的な日程交渉をしましょう。
いきなり退職すると引き継ぎが不十分になるなど前職に迷惑を掛けることになり、場合によってはトラブルへと発展します。
今の仕事の引き継ぎにどれくらいの時間が必要かなどを考慮した上で、あなたがいつ頃今の仕事を退職できるのかを判断し、転職先の企業と入社日程について交渉しましょう。
社内の人に引き抜き転職について無闇に話さない
退職・入社の日程が決まったら、社内の人に引き抜き転職について無闇に話さないようにしてください。
引き抜き転職についてはよく思わない人もいます。また、噂が一人歩きしてしまい、社内の人に事実と違う認識をされることもあります。このような状況になると、退職するまでの間、あなたは肩身の狭い思いをしながら仕事をすることになってしまうでしょう。
そのため、社内の人には引き抜き転職について無闇に話さずに、まずは直属の上司に相談しましょう。そして、同僚や部下へ退職を伝えるタイミングは、上司の判断を仰ぎ適切なタイミングで伝えることをおすすめします。
転職先では守秘義務を守る
転職先では前職の守秘義務を必ず守ってください。同業他社に転職する人は、前職で知り得た情報の取扱いに、特に注意しましょう。
転職先で、前職で知り得た情報を漏洩した場合、秘密保持義務などの規約違反で損害賠償を求められたり、不正競争防止法違反などの罪に問われることもあります。
また、ライバル企業から情報を入手することが目的で引き抜きをおこなう悪質なケースも発生しているため注意が必要です。
情報漏洩によるトラブルは、最悪あなたの人生そのものを台無しにしてしまいます。トラブルを避けるためにも、前職で知り得た情報の取り扱いを慎重におこなうことが大切です。
引き抜き転職が不安な人の転職方法
引き抜き転職が不安な人は、ヘッドハンティングサービスや転職エージェントなど第三者に介入してもらうことをおすすめします。
第三者が介入することで、あなたが気付かなかった点を指摘してもらうことができるので、安心して転職することができるでしょう。
ここでは、ヘッドハンティングサービスと転職エージェントについて紹介していきます。
ヘッドハンティングサービスやSNSに登録する
ヘッドハンティングサービスは、あなたと企業の間に人材紹介会社が介入しスカウトをおこないます。
ヘッドハンティングサービスの審査を通過した企業からのスカウトを受けることができるほか、ヘッドハンティングサービスを仲介して企業とやりとりをおこなうことができるので、企業との直接のやりとりに不安がある人におすすめです。
また、人材紹介会社に在籍するヘッドハンターは、企業に紹介する人材を探すためにSNSを見ることも多いです。SNSに登録することで、ヘッドハンターがあなたを見つけやすくなるでしょう。
あとは人事情報や企業のIR情報、業界の情報誌、知り合いの伝手などから優秀な人材を探しています。
ヘッドハンティングを受けたいのであれば、広い範囲の網を張っておき、あなたを見つけやすくすることをおすすめします。
転職エージェントを利用する
転職エージェントを利用することで、あなたが希望する条件に近い求人を紹介してもらうことができます。また、選考対策や日程調整、内定後の条件交渉をあなたに代わっておこなってくれるので、転職に不安がある人には転職エージェントの利用がおすすめです。
そして、「引き抜きのオファーが来たけど、もっと条件がいい企業もあるのではないか」「1社のみで決めてしまうのはリスクがある」と考えている人にも転職エージェントの利用をおすすめします。
転職エージェントは転職市場に精通しており、あなたのスキルや経験、希望する条件に合った企業を紹介することができます。そのため、今よりも好条件で転職できる企業が見つかる可能性があります。
引き抜き転職に悩む人はマジキャリがおすすめ!
ここまでお伝えしてきたように、引き抜き転職に不安があるという人は第三者に介入してもらったり、プロからアドバイスをもらうのがおすすめです。
ヘッドハンティングサービスや転職エージェントだと転職することを前提に相談に乗ってもらうため、慎重に転職を検討したい人にはキャリアコーチングの方が合っています。
キャリアコーチングサービスでは、キャリアに関する悩みをなんでも相談できるので、引き抜き転職を検討している人も以下のような相談をすることができます。
- オファーされた会社に行くことで自分の理想のキャリアが叶えられるのか
- 自分の市場価値がわからないので、どのくらいの年収が妥当かわからない
キャリアコーチングでは、自己分析やキャリアの棚卸しなどを最初におこなうため、あなたのことをスキルやこれまでの経験、この先のキャリアなどを把握しているプロからアドバイスをもらうことができるのがポイントです。
中でも、マジキャリは、転職やキャリアの知見が豊富な人材領域に精通したコーチが揃っていて、あなた専属のコーチとして付いてくれるので、1人では不安という人におすすめのサービスです。
引き抜き転職で悩んでいる人はぜひ一度マジキャリに相談してみてください。
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本ページを参考にしていただいた記事
先ほど紹介したヘッドハンティングサービスや転職エージェントを利用するのも良いですが、キャリアコーチングサービスもおすすめです。