転勤打診が多い一方で転勤したくない人も多い
パーソル総合研究所が管理職に就いていない一般社員層に対し、異動配置に関する調査をおこないました。ここでは調査結果を元に、企業の異動に関する考えや、異動を命じられた社員の受け入れ意向について解説していきます。
引用:パーソル総合研究所
社内公募制度やフリーエージェント制度など、本人意向に基づいて異動できる企業は少ないです。よって、異動に本人の意向が反映できるケースは限定的であることがわかります。
多くの企業は異動については本人の意志に関わらず企業側から一方的に命じられるものであることが多いようです。
引用:パーソル総合研究所
そして、異動を命じられた一般社員の受け入れ意向についての調査結果が上の表です。
企業側からの指示による異動について「拒否」の意向を持つ一般社員の割合は30%、拒否できない場合は、退職や転職を検討する一般社員の割合は11%でした。
多くの一般社員は、企業側からの異動の指示に対して「従う」意向を持っていることがわかります。
しかし、「従う」意向を持つ一般社員でも、自分が希望する条件であれば異動に応じると回答した人が「従う」意向を持つ一般社員の約半数を占めています。
ただ命じられたまま異動するのではなく、「自分の希望も通してほしい」と考えている人が多いことがわかります。
「転勤」か「転職」か悩んだ時のポイント4選
あなたが会社から転勤を命じられ、「転勤するべきか」「転職するべきか」悩んだ時は、以下の4つのポイントからどちらにするべきか判断してください。
メリット・デメリットを比較する
まずは転勤・転職のメリットとデメリットを比較しましょう。そのうえで、あなたにとって転勤・転職のどちらの方がメリットが多く、デメリットが少ないのかを考えてみてください。
デメリットを我慢できる場合、問題はありません。しかし、もし気になるデメリットがある場合、転勤を辞退する、もしくは妥協案や完全策を見つけるのが得策です。
転勤・転職のメリット・デメリットは人や状況によって異なりますが、よくあるメリット・デメリットについては下で紹介しているので参考にしてください。
ここで簡単に説明すると、転勤の場合、キャリアアップが見込めますが、知らない土地で働くことになるので不安が出てくるでしょう。転職の場合、新しいことに挑戦できる反面これまでのスキルが活かせないことや年収が下がるケースもあります。
このようにそれぞれのメリット・デメリットを比較し、あなたにとってどちらを選択することがベストなのか考えましょう。
キャリアアップしたいか
あなたがキャリアアップを目指しているのかについても、転勤か転職か悩んだ時の重要な指標になります。
転勤は、多くの場合社員の人材育成を目的におこなわれます。転勤先、もしくは転勤先から元の部署に戻った時に昇進が見込まれるのです。今の会社に不満がなく、役職のポジションも空いている場合は、転勤によるキャリアアップを目指した方が得策といえます。
一方で、転職でもキャリアアップは可能です。今の会社では役職のポジションが埋まっており、昇進が見込めない場合は転職でキャリアアップを目指しましょう。
しかし、あなたが管理職や専門的で高度なスキルを持っていない限り、いきなりキャリアアップすることは難しいです。キャリアアップは、転職してから早くても数年先になるでしょう。
勤続年数はどうか
転勤ではなく転職を検討する場合は、あなたの現職の勤続年数や転職回数も気にするようにしましょう。
POINT
勤続年数が3年以内と短いまま仕事を辞めると短期離職になります。そして、短期離職は一般的に転職に不利だといわれています。
なぜなら、面接官に「嫌なことがあるとすぐに辞めてしまう人」と思われやすくなるからです。場合によっては、短期離職であることを理由に書類選考で落とされることもあります。
また、短期離職を繰り返すと選考通過の難易度は上がっていくので、転職回数が多い人は注意が必要です。
現職に入社したばかりの人はできるだけ転職をしない方向で考えるほうが無難といえるでしょう。
待遇面はどうか
転勤か転職か悩んだときは、待遇面も気にしてみましょう。
転職の場合、給料が変わることはもちろんのこと、転勤の場合でも昇進などにより大幅な給料アップを見込める可能性があります。
転勤した場合と転職した場合の待遇を比較し検討してみてください。また、転勤により住む場所が変わるので、生活にかかるコストも合わせて比較してみましょう。
さらに、待遇面だけではなく、業務時間や福利厚生、勤務条件も合わせて詳細に確認することがおすすめです。
POINT
転勤したほうが待遇面は良くても、転職によって今の会社よりも福利厚生が充実していたり、勤務条件が良い会社が見つかることがあります。
あなたが待遇面を重視するのか、それともそれ以外の条件を重視するのかを考えることによって、転勤と転職のどちらがいいのか考えるときの判断材料にすることができるでしょう。
転勤をするメリット・デメリット
転勤をするメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
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会社が転勤を命じる理由として多いのが人材育成です。会社はあなたのスキルや知識の向上を期待して転勤を命じています。
また、転勤先では、同じような業務でもやり方が異なる場合もあるため、仕事の幅や考え方を学ぶことができます。
そして、転勤をすることで転勤先の人々を含め多くの人と関わり仕事をすることができます。人脈を広げることで、頼れる上司や同僚にも巡り合える可能性が高くなります。
一方で、転勤すると土地も全く知らない場所で働くことになります。親しい人と離れてしまったり、生活の変化によりストレスを感じることも多くなるでしょう。
また、結婚している人にとっては、家族にも転勤の影響を与えてしまうことがあるので、1人ではなかなか決められないことでもあります。
転職をするメリット・デメリット
転職をするメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
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転職は、今まで出来なかったことに挑戦するチャンスでもあります。「こんな仕事がしてみたい」と思っても現職では難しかったことが出来るようになるかもしれません。
新たなスキルや経験を身に付けることで、今後のキャリアの選択肢を広げることができます。視野が広がり、これまで当たり前だと思っていたことを見直すことができるでしょう。
また、人間関係をリセットできることもメリットの一つです。あなたが職場でハラスメントを受けていたり、上司や同僚と合わない場合、転職することでそういった環境から抜け出すことができます。
一方で、転職後はゼロから人間関係を築くことになるため、人間関係を築くまでには時間がかかります。特に初対面と打ち解けるのに時間が掛かる人はストレスを感じるでしょう。
未経験の業界や職種へ転職した場合は、即戦力としての評価を得にくいため年収が下がる可能性があります。
そして、短期離職などで転職を繰り返している場合は、社会的な信用を失い、転職難易度が高くなります。選考をなかなか通過することができず、転職活動の期間が長引いてしまうでしょう。
転勤を理由に転職して後悔しないための注意点
転勤を理由にして転職した場合、「やっぱり前の会社に残っていればよかった」と後悔してしまうことがあります。
ここでは、転勤を理由に転職して後悔しないための2つの注意点について解説していきます。
注意点1.自分の状況を冷静に見つめ直す
まず一つ目が「自分自身の状況を客観的に見つめ直す」ことです。
転勤を理由に転職するか悩んでいる人の中には、「転勤以外は今の会社に不満がない」という人もいます。つまり、転勤さえなければ今の会社はあなたに合っているということになります。
あなた自身を客観的に見直して、「今の会社で満足していることは何だろう」「転職先に求めることは何だろう」など、あなたが仕事をする上で大切にしていることに優先順位をつけて転職先を検討することが大切です。
注意点2.転職で条件面が悪くなることがある
もう一つが転職で今よりも年収などの待遇面の条件が悪くなる可能性があることです。
転勤がない会社に転職できたとしても、あなた自身のスキルや経験が応募した会社が求めるレベルに達していなかったり、未経験の業界や職種の場合、内定をもらえたとしても条件は悪くなることがあります。
年収が下がるリスクがあることを認識した上で、それでも転職したい理由は何なのかを明確にして転職活動に臨むことをおすすめします。
企業が転勤を命じる理由
企業が転勤を命じる理由は以下の表の通りです。
参考:JILPT「企業における転勤の実態に関する調査」
ここでは、企業が転勤を命じる理由として以下の3つについて解説していきます。
人材育成のため
表にあるように、人材育成のための転勤が最も多いです。
例えば、転勤先の職場で様々な仕事をおこなうことで、経験を積むことができ、社員のスキルや経験の向上が期待できます。
また、転勤前の職場とは違ったスキルが必要となる場合もあるため、社員が仕事の幅を広げることも可能です。
そして、転勤によってこれまで関わることのなかった社員と交流できるため、社内のネットワークが広がります。
会社は、これらの効果を期待して社員に対し転勤を命じているのです。
適材適所に人員を配置するため
会社側が転勤先にあなたの適性があると判断し、転勤を命じているケースもあります。
転勤はあなたが望んだものではないかもしれません。しかし、会社側はあなたに適性があると見込んで転勤を命じているので、実際に転勤先で仕事に取り組んでみると、強みを発揮できたり活躍できることもあります。
少子化により労働人口が減少し、働き方の多様化が進んでいる日本では、人材不足に悩む会社も増えています。そのため、部署毎に必要な人材を採用することが難しく、社員をそれぞれの強みを発揮できる部署に配置転換したほうが効果的な場合があるのです。
また、社員一人ひとりの適性を見極めるためにジョブローテーションをおこない、最終的に適材適所に人材を配置することもあります。
新規拠点立ち上げのため
新規拠点立ち上げのための転勤もあります。新規の拠点を確立させ、そこでより早く確実に成果を上げるために、適性のある優秀な人材に新規拠点へ転勤を命じているのです。
例えば、地方に新規拠点を立ち上げる場合、首都圏で働いている社員のスキルや経験を地方の新規拠点で活かしたり、ノウハウを共有することで、生産性向上が期待できます。
また、新規拠点を立ち上げる場合、新規採用をおこなうよりも、適性のある優秀な人材を転勤させたほうが、効率よく拠点を立ち上げることができます。成果も早く上げることができるでしょう。
このように、会社側は新規拠点の立ち上げを成功させるために、適性が見込まれた社員に転勤を命じているのです。
「転勤」か「転職」か悩んでいる人へ
会社から転勤を命じられて、転勤を受け入れるべきか、いっそのこと転職すべきかという悩みを抱えていませんか?
転勤をして勤務地も関わる人も変わり、住む土地も変わるなら転職するのとあまり変わらないと思ってしまいますよね。
転勤を受け入れるのか、転職するのかで悩んでいる人は、それぞれのメリット・デメリットを書き出し、冷静に判断することが大切です。
仕事の条件は全てトレードオフです。転勤してキャリアアップできるとしても、単身赴任になってしまうことや、やりたい仕事に転職しても、年収が下がってしまう可能性はあります。
そのため、それぞれのメリット・デメリットを書き出してみたけど、それでも転勤か、転職か決められない人は「将来どうなりたいのか?」を考え、それを元にキャリアプランを設計しましょう。
自分の将来像やキャリアプランが立てられていれば、将来像から逆算して、今の会社で転勤すべきなのか、転職する道を選ぶべきなのかが明確になります。
ただ、将来のことは経験していないからこそイメージしにくく、言語化が難しいです。そのため、将来像が曖昧な人やキャリアプランがない人はマジキャリなどのキャリアのプロに相談しましょう。
マジキャリでは、転職やキャリアの知見が豊富なプロのコーチの力を借りて、将来像の言語化をしていきます。曖昧な状態から、コーチが質問をしてくれて、だんだんと具体的にイメージできるようになっていきます。
そして、その将来像を実現するには、今の会社で転勤して経験を積む方がいいのか、転職した方がいいのかを考えていきます。
転職するとなった場合、どのような会社に転職するのか、現職の経験を活かせる仕事は何かを棚卸しして、仕事選びから面接対策まで一貫してサポートしてもらえます。
また、マジキャリは転職を前提とするサービスではないので、転勤を選んだ場合でも現職でどうキャリアアップしていくか相談できます。
転勤するか・転職するか悩んでいる人は、ぜひ一度マジキャリに相談してみてください。
安心転職コース
内定率
*22年4月〜22年10月の間に転職活動を行い5社以上に応募したお客様が対象です。
キャリア相談をする
よくある質問
最後によくある質問について解説していきます。
転勤の期間はどのくらい??
参考:JILPT「企業における転勤の実態に関する調査」
転勤の平均期間は3~5年です。3~5年の転勤期間を過ごした後は、元の部署へ戻ることが多いです。
また、JILPTの「企業における転勤の実態に関する調査」によると、転勤期間が終了した後に「元の部署へ戻るのか」「別の地域へ再転勤するのか」のどちらの状況に近いのか調査した結果によると、7割が「元の部署に戻る」と回答しています。一方で、3割は「別の地域へ再転勤する」と回答しています。つまり、3割の人は元の部署に戻れず別の地域へ再転勤する可能性があるのです。
また、転勤期間を定めていない会社もあります。転勤の地域や時期などは、その時の状況により決定しています。
転勤の平均期間は3~5年ですが、会社の状況などによって変わることがあるので、一概には言えませんし、必ず元の部署に戻れる保障もありません。
そのため、事前に会社に自分の赴任期間の目安を聞いたり、転勤から戻ってきた後の働き方を聞いてから、判断するのでも良いでしょう。
「転勤」と「転職」の違い?
転勤と転職の違いをまとめると以下の通りです。
転勤 | 転職 |
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転勤は、会社の都合によっておこなわれるものです。住居地の変更を伴う人事異動ですが、所属する会社は変わりません。所属する会社も変わる場合は、転籍になります。
一方で、転職は今勤めている会社を退職し、違う会社で働くことです。今までとは違う業界や職種で働いたり、起業したりすることもできます。
また、転職は自己都合です。基本的に転勤に応じられず退職する場合は、退職理由は自己都合となります。
本ページを参考にしていただいた記事
まず始めに、1年間あたりの異動者の割合ですが、平均して約2割ほどの一般社員が異動しています。数年間に換算してみると、社内で相当数の人が異動を経験することになります。