仕事でやりがいかお金か——どちらを選ぶべきかで悩んでいる方は多くいます。
特に転職を検討している20〜30代から「やりがいのある仕事を選びたいが、生活のためにはお金も必要」「お金のために働いているが、このままでいいのか」という声をよく聞きます。
結論から言えば、「やりがいかお金か」という問いの立て方自体に落とし穴があります。どちらかを選ぶのではなく、順序と方法を変えることでどちらも諦めなくていい選択ができます。
本記事では、やりがいとお金についての「知られていない3つの事実」、キャリアコーチ末永が考える結論、そして両立するための具体的なアクションを解説します。
「やりがいかお金か」で悩む前に知ってほしい3つの事実
やりがいかお金かの問いに答える前に、まず以下の3つの事実を知っておいてください。この3つを知ることで、悩み方が変わります。
仕事のやりがいは「結果が出てから」感じるもの
やりがいを先に求めてから仕事を選ぼうとすると、多くの場合失望します。
やりがいとは仕事に「期待する感情」ではなく、仕事を「やり切った後に残る充実感」です。入社直後に「やりがいを感じられない」と判断するのは、まだやり切っていない段階での評価にすぎません。
たとえば法人営業を始めた最初の半年は断られ続け「向いていない」と感じる人がほとんどです。しかし1〜2年かけて自分なりの提案スタイルを確立し、顧客の課題を解決できるようになったとき、初めて「この仕事に意味がある」という感覚が生まれます。
やりがいがあるかどうかは、仕事を始める前ではなく、仕事をやり切った後に判断するべきものです。
年収700万円を超えると幸福度はほぼ変わらない
「お金が増えれば幸せになれる」という考え方には、科学的な限界があります。
プリンストン大学のアンガス・ディートン教授の研究によると、年収700万円(当時の米ドル換算で7.5万ドル)を超えると、収入が増えても主観的な幸福度はほとんど上昇しなくなることが確認されています。
「もっとお金を稼げばもっと幸せになれる」は、年収700万円未満では当てはまりますが、それ以上の水準ではほぼ当てはまりません。
生活の安心を確保する水準までお金を追いかけ、その先はやりがいや自由という別の軸でキャリアを考えることが合理的です。
年収は「個人の努力」より「業界選択」で7〜8割決まる
同じスキルを持っていても、働く業界によって年収は大きく違います。
年収の水準を決める主な要素は次の4つです。
①既得権益化(発注元に近い業界ほど年収が高い)、②客単価(不動産・金融・コンサルなど単価の高い商材を扱う業界は高収入)、③粗利率(SaaSなど限界費用が低い業界は人件費に回せる余力が大きい)、④市場シェア(大手独占の市場は参入障壁が高いぶん賃金が安定)。
個人の頑張りで年収を上げる努力は大切ですが、構造的に年収が低い業界にいる限り効果は限定的です。
お金を優先するなら、まず「業界の選択が合っているか」を確認することが最も効率的な方法です。
「やりがいかお金か」への結論
3つの事実を踏まえた上で、キャリアコーチとしての末永の答えをお伝えします。
20代はまず「お金になるスキル(Can)」を鍛える
20代のうちは、やりがいを優先するより先に「お金になるスキル(Can)」を積み上げることを優先してください。
やりたいこと(Will)は、経験が増えるにつれて変化します。しかし、できること(Can)は積み上げるほど選択肢を広げてくれます。
20代でCanを鍛えておくと、30代以降に「このスキルで自分らしく働ける仕事を探す」という選択が可能になります。
20代でやりたいことだけを追いかけると、30代になったとき「やりがいはあるが選択肢が少ない」という状況になりやすいです。
まずCanを積み、「どのやりがいを追うかを選べる状態」を作ることが、結果的にどちらも手に入れる道です。
やりがいは「仕事をやり切ってから」判断する
仕事に対して「やりがいがある・ない」を判断するのは、その仕事を一度やり切ってからにしてください。
仕事をやり切るとは、担当業務で「自分なりの成果の出し方」を確立できた状態のことを指します。その状態になってから判断した「やりがいのなさ」は本物の問題ですが、その前の段階での判断は早計です。
「今の仕事にやりがいを感じないから転職したい」という相談で、入社1〜2年の方が来るケースは多いです。
「できないからつまらない」と「やりがいがない」は別の問題です。できるようになって初めてやりがいが生まれるケースは、現場で非常に多く見てきました。
幸せの本質は「自分でキャリアを選べる自由」にある
「やりがいかお金か」という問いの背景には「どちらかを諦めなければならない」という前提があります。
しかし、幸せの本質はどちらを選んだかではなく、「自分の意思でキャリアを選択できる状態にあるかどうか」にあります。
お金になるスキルを持っていれば、「この仕事では食べていけない」という理由だけで選択肢を諦めずに済みます。
20代でCanを鍛え、30代以降に「稼げる力を持った上でやりがいを選ぶ」——この順序が、どちらも諦めない答えです。
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やりがいを優先したい人が直面する現実
やりがいを優先したいと思っている方に、事前に知っておいてほしい現実があります。
「好きなこと=仕事のやりがい」は短絡的すぎる
「好きなことを仕事にすれば、やりがいを持って働ける」という考え方は広まっていますが、現実はもう少し複雑です。
好きな映画を毎日鑑賞することと、映画評論家として締め切りに追われながら原稿を書くことは、まったく別の体験です。
好きなことを仕事にすると、仕事特有のプレッシャーや繰り返し・クライアント対応が加わり、「好きだったものが嫌いになった」という経験をする人は少なくありません。
仕事のやりがいの本質は「好き嫌い」ではなく、「貢献実感」と「成長実感」にあります。
自分の行動が誰かの課題を解決した手応えと、昨日より今日できることが増えた実感——この2つが組み合わさったとき、仕事はやりがいのあるものになります。
やりがい搾取——低賃金を「やりがい」で正当化されるリスク
やりがいがある仕事を選んだとき、一定の割合で「やりがいを使って低賃金を正当化される」状況に遭遇します。
「やりがいがある仕事なんだから、給与が低くても仕方ない」——このような言葉で適正な報酬を得られない環境は、いわゆる「やりがい搾取」です。
やりがいを理由に市場水準を大幅に下回る給与で働き続けている方を、コーチングの現場で多く見てきました。
仕事の対価を「やりがい」で受け取ることはできません。自分のスキルが市場でどう評価されるかを把握した上で、仕事の選択をしてください。
やりがいは自己分析なしには見つからない
やりがいは「探す」ものではなく「言語化する」ものです。
「やりがいを感じる仕事が何かわからない」という状態は、やりがいがない状態ではなく、自分の価値観が言語化されていない状態です。
どんな状況で充実感を感じるか、どんな成果を出せたときに「続けてよかった」と思えるか——この問いへの答えが言語化できていないと、どんな仕事に就いてもやりがいを感じにくくなります。
やりがいを見つけるには、まず自己分析が必要です。
過去の仕事・勉強・趣味の中で「特に充実していた瞬間」を棚卸しすることで、自分がどんな経験に価値を感じるかが見えてきます。
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お金を優先するなら「業界選択」が9割
お金を重視してキャリアを選ぶなら、スキルを磨く前に「業界を選ぶ目線」を持つことが最も重要です。
年収を左右する4要素——同じ仕事でも年収が2倍違う理由
H2-1で紹介した4要素(既得権益・客単価・粗利率・市場シェア)を、具体例で掘り下げます。
既得権益化の例:ITエンジニアでも、大手SIerのプライム案件を受注する立場と、3次請けSESとして現場に入る立場では、同じスキルセットでも年収差が300〜400万円開くことがあります。
自分がどの位置に立つかで、報酬は大きく変わります。
客単価の例:同じ「法人営業」でも、1件あたり数万円のルーティン商材を売る仕事と、1億円超のM&A案件や不動産投資案件を扱う仕事では、インセンティブ設計が根本的に違います。
お金を優先するなら、自分のスキルをどの業界・どのポジションで活かすかの「構造的な設計」が、スキルアップより先に来ます。
高年収=市場価値が高い、とは限らない
「今の会社での年収が高い=市場価値が高い」というのは、必ずしも正しくありません。
大企業の看板や既得権益の恩恵で高い報酬を得ている場合、転職市場に出た途端に評価が下がるケースがあります。
会社の看板が外れたときに残るスキル・実績・知識——これが本当の市場価値です。
高年収の環境にいても、転職市場での自分のポータビリティ(持ち運べる価値)を定期的に確認しておくことが重要です。
逆に、今の給与が低くても市場価値の高いスキルを積んでいれば、転職で一気に年収が上がる可能性があります。
やりたい仕事と向いてる仕事どっちが幸せ?適職を見つけるには自己分析が大事
転職でお金を上げる人がやっていること
転職で年収を大きく上げた人に共通しているのは、「同じ仕事を同じ業界でやり続けない」という判断です。
年収を上げた転職者に共通するのは、業界×職種の掛け合わせを変えたことです。
エンジニアがSESから自社開発企業へ移る、営業職が中小企業向けから大手企業向けにターゲットを変えるといったパターンで、年収200〜300万円上がるケースは珍しくありません。
スキルを磨くことも重要ですが、業界・ポジションを変えるほうが年収インパクトは大きいことが多いです。
転職でお金を上げるには「どこで・どのポジションで働くか」の設計が、スキルアップより先に来ます。
やりがいとお金を両立する道——自己分析から始める理由
やりがいとお金は、順序と方法を正しく選べばどちらも諦める必要がありません。その出発点が自己分析です。
強み×業界需要の交差点にキャリアの答えがある
自己分析の目的は「好き嫌い」の整理ではなく、「原体験に基づいた強みの言語化」です。
幼少期から現在に至るまでの出来事を振り返り、「特に充実していた経験」「達成感を感じた仕事」「自然と集中できた行動」を棚卸しすると、表面的な好き嫌いとは違う、深い「強みのパターン」が見えてきます。
この強みを、年収水準の高い業界・成長中の職種に掛け合わせることで、「強みが活きて、かつ収入も確保できるキャリア」が具体化されます。これが「やりがいとお金の両立」の実体です。
就いてよかった!女性におすすめのやりがいのある仕事15選を紹介
一人では気づけない「本当の強み」をプロと見つける
自己分析を一人でやると、自分の「当たり前」になっている強みに気づけないという問題が起きます。
自分にとって自然にできることは「誰でもできる」と思いがちですが、実はそれが他者から見た強みである場合が多いです。
また、一人だとポジティブな記憶だけを拾ってしまう自己認知バイアスも働きやすくなります。
マジキャリでは幼少期から現在までの出来事を系統的に振り返り、原体験に基づいた強みを発見するプロセスを一緒に行います。
「こんな強みがあったのか」と気づく方が多く、そこから業界・職種の具体的な選択肢が見えてきます。
やりがいかお金かで悩んでいる状態の多くは、「自分が何を持っているか」がまだ見えていない段階です。
マジキャリは、徹底的な自己分析と転職知見を組み合わせ、「やりがいと収入が両立できるキャリアの答え」を具体的に言語化するキャリアコーチングサービスです。
コーチ陣は全員が転職エージェント・採用人事・国家資格キャリアコンサルタントなどのキャリアのプロで、累計2万人以上のキャリアデータを持っています。
無料体験できるキャリアコーチング12選!各社の特徴や無料体験の流れも紹介
仕事はやりがいかお金かに関するよくある質問
よく寄せられる質問をまとめました。
Q. お金を優先して選んだ仕事でも、やりがいを感じられますか?
可能です。
お金になるスキルが積まれ、生活の安心が確保されると、仕事に「余裕を持って取り組める」状態になります。この余裕がやりがいを感じやすくします。お金を先に取ることは、やりがいとの両立を諦めることではありません。収入が安定した後に「このスキルで次はどんな課題に取り組もうか」という主体性も生まれやすくなります。
Q. 「仕事に興味はないがお金のため」は続けていいですか?
短期的にはOKですが、「Canの積み上げ」を意識することが条件です。
興味のない仕事でも、そこで積めるスキルが市場価値につながるなら続ける意味があります。ただし「ただこなしているだけ」の状態が続くと、スキルも積まれず出口も見えなくなります。今の仕事から「転職市場で通用するスキル・実績」を意識的に取りに行くことを前提に、続けるかどうかを判断してください。
Q. やりたい仕事なのに給料が低い場合はどうすればいいですか?
まず「業界の問題か、ポジションの問題か」を確認してください。
やりたい仕事の給料が低い理由として、①業界全体の賃金水準が低い、②今のポジションが低いだけで上位職は高い、の2パターンがあります。①なら業界ごと変える選択(同種の仕事を単価の高い業界でやる)を検討し、②ならそのままスキルを積んでポジションを上げる戦略が有効です。どちらなのかを把握せずに「給料が低いから諦める」判断は早計です。
やりがいかお金かで迷ったらマジキャリへ
本記事では、「仕事はやりがいかお金か」という問いへの答えを解説しました。まとめると、次の5点です。
POINT
- やりがいは仕事をやり切った後に生まれる。入社直後に判断するのは早すぎる
- 年収700万円を超えると、収入増加が幸福度に与える影響は小さくなる
- 年収水準は業界選択で大きく変わる。スキルより業界設計が先
- 20代はCanを積み、30代以降に「選べる自由」を持った上でやりがいを追う
- 幸せの本質は「やりがいかお金か」の答えではなく、「自分で選択できる状態」にある
やりがいかお金かで悩んでいる方の多くは、「自分が何を持っていて、何を求めているか」がまだ言語化されていない状態にあります。
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コーチングで「今の仕事にやりがいがない」という相談をよく受けますが、多くの場合まだやり切っていない段階です。
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